借金の問題は、非常にデリケートなため、家族や友人にも打ち明けられず、一人で抱え込んでしまう方が少なくありません。
しかし、この「孤立」こそが、問題解決を最も遠ざける要因となります。「返済のことばかり考えて夜も眠れない」「誰かに知られたらどうしよう」といった精神的なプレッシャーは、正常な判断力を奪い、投げやりな気持ちにさせてしまいます。
「なぜ、毎月きちんと返済しているのに、借金が少しも減らないのだろう…。」もしあなたが今、auじぶん銀行カードローンの返済に対して、出口の見えない暗いトンネルの中にいるような感覚を抱いているのなら、どうかご安心ください。
その苦しい状況は、決してあなたの努力が足りないからではありません。多くの場合、カードローン特有の「仕組み」を正しく理解できていないことに、根本的な原因が隠されています。
この先では、返済に苦しむ多くの方々を支援してきた専門家として、あなたが陥っている状況の根本原因を一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。そして、その原因に基づいた具体的で実践的な解決策を、誰にでも分かるように解説します。

auじぶん銀行カードローンの返済額が減らない原因7選
返済が進まず、出口が見えないと感じるお気持ち、非常にお辛いことと存じます。しかし、ご安心ください。なぜ返済額が減らないのか、その原因を正しく理解することが、解決への第一歩となります。多くの方が同じような悩みを抱えており、決してあなた一人の問題ではありません。
まずは、返済が思うように進まない主な原因として考えられる10項目を、一つひとつ丁寧に解説していきます。ご自身の状況と照らし合わせながら、じっくりと読み進めてみてください。
高い金利と「利息の重み」を実感できていない
カードローンの返済が思うように進まない最も基本的な原因は、やはり「金利」にあります。auじぶん銀行カードローンの金利は、ご利用限度額に応じて年1.38%~17.5%の範囲で設定されていますが、多くの場合、最初は上限に近い金利が適用されます。
ご契約いただいたご利用限度額に応じて、お借入れの金利が決定します。
ご利用限度額 | 金利(年利) |
---|---|
710万円~800万円 | 1.48%~3.5% |
510万円~700万円 | 3.5%~5.0% |
310万円~500万円 | 5.0%~7.0% |
110万円~300万円 | 7.0%~13.0% |
10万円~100万円 | 13.0%~17.5% |
例えば、100万円を年15.0%で借り入れている場合、1ヶ月あたりの利息は約12,500円にもなります(100万円 × 15.0% ÷ 12ヶ月)。毎月20,000円を返済しても、そのうちの6割以上が利息の支払いに充てられ、元金は7,500円しか減らない計算です。
ご利用限度額 | 通常金利(年利) | 誰でもコース(年利) |
---|---|---|
710万円~800万円 | 1.48%~3.5% | 1.38%~3.4% |
510万円~700万円 | 3.5%~5.0% | 3.4%~4.9% |
310万円~500万円 | 5.0%~7.0% | 4.9%~6.9% |
110万円~300万円 | 7.0%~13.0% | 6.9%~12.9% |
10万円~100万円 | 13.0%~17.5% | 12.9%~17.4% |
ご利用限度額 | 通常金利(年利) | 借り換えコース(年利) |
---|---|---|
710万円~800万円 | 1.48%~3.5% | 0.98%~3.0% |
510万円~700万円 | 3.5%~5.0% | 3.0%~4.5% |
310万円~500万円 | 5.0%~7.0% | 4.5%~6.5% |
110万円~300万円 | 7.0%~13.0% | 6.5%~12.5% |
10万円~100万円 | 13.0%~17.5% | 12.5% ご利用限度額が100万円の場合のみ※ |
注 「借り換えコース」をお申込みで、審査結果により限度額が100万円未満となった場合は「誰でもコース」の金利が適用されます。
この「返済額の大部分が利息で消えている」という事実を実感できていないと、「毎月きちんと返済しているのに、なぜか元金が全く減らない」という感覚に陥ってしまいます。
これはあなたの返済努力が足りないわけではなく、利息の仕組みそのものに起因するものです。まずはご自身の契約金利を確認し、毎月の返済額のうち、いくらが利息で、いくらが元金の返済に充てられているのかを把握することが重要です。
残高スライド元利定額返済方式の仕組みを誤解している
auじぶん銀行カードローンでは、「残高スライド元利定額返済方式」が採用されています。
これは、借入残高に応じて毎月の返済額が変動する仕組みです。例えば、借入残高が30万円超50万円以下なら毎月の返済額は10,000円、30万円以下になると8,000円に、というように、返済が進んで残高が減ると、毎月の返済額も自動的に少なくなります。
一見すると月々の負担が軽くなって楽に感じるかもしれませんが、ここに大きな落とし穴があります。返済額が減ると、その分、返済額に占める利息の割合が大きくなり、元金が減るペースがさらに遅くなってしまうのです。
結果として、返済期間が長期化し、支払う利息の総額はどんどん膨らんでいきます。「いつまでも返済が終わらない」と感じる方の多くが、この返済方式の特性を理解しないまま、毎月決められた最低額だけを支払い続けているケースが非常に多いのです。
毎月「最低返済額」のみを返済している
auじぶん銀行から毎月請求される返済額は、あくまで「最低限これだけは支払ってください」という金額(約定返済額)に過ぎません。
この金額は、前述の「残高スライド元利定額返済方式」に基づき、利息の支払いを主として計算されているため、最低返済額だけを続けていても、元金はごくわずかしか減りません。
これは、金融機関側からすれば、利息を長期間にわたって得続けるための仕組みとも言えます。完済を本気で目指すのであれば、この最低返済額に加えて、ご自身の判断で追加で返済(任意返済・繰り上げ返済)を行うことが不可欠です。「毎月きちんと支払っている」という事実に安心するのではなく、「このままでは完済が遠のくだけだ」という危機感を持つことが大切です。
家計に少しでも余裕が生まれた月には、1,000円でも5,000円でも多く返済に回す「繰り上げ返済」を実践することが、完済への最短ルートとなります。
収入の減少や、冠婚葬祭などの予期せぬ支出
返済計画を立てていても、会社の業績悪化による給与カットや転職、病気やケガによる休職などで収入が減ってしまうことがあります。また、ご自身の医療費や親の介護費用、冠婚葬祭といった予期せぬ大きな支出が発生することもあるでしょう。
このような状況では、計画通りに返済を進めることが困難になり、最低返済額の支払いでさえ厳しくなる可能性があります。こうした不可抗力な要因によって返済が滞ると、精神的な焦りから「他社で借りて返済に充てる」といった悪循環に陥りがちです。
大切なのは、一人で抱え込まず、支払いが困難になった時点で、速やかにauじぶん銀行のコールセンターに相談することです。事情を正直に話すことで、一時的な返済額の減額など、何らかの救済措置を検討してもらえる可能性があります。
状況が悪化する前に、早めに専門機関へ相談することも重要な選択肢です。
返済の遅延によって「遅延損害金」が発生している
もし、一度でも返済日に入金が間に合わなかった経験がある場合、状況はさらに深刻化している可能性があります。返済を1日でも遅延すると、通常の金利(年1.38%~17.5%)の代わりに、非常に高い「遅延損害金」(auじぶん銀行の場合は年20.0%)が日割りで発生します。
これは、返済されるまでの間、元金全体に対して適用されるため、数日の遅れであっても返済総額は大きく膨れ上がります。さらに、遅延を繰り返すと、信用情報機関にその事実が記録され(いわゆるブラックリスト)、将来的に住宅ローンや自動車ローンを組むことが困難になるなどの大きなデメリットも生じます。
うっかりミスでの遅延を防ぐためにも、返済方法を口座からの自動引落に設定しておくことが基本です。もし支払いが難しいと分かった場合は、遅延してしまう前に必ずauじぶん銀行へ連絡し、相談するようにしてください。
家計の収支状況を正確に把握できていない
「毎月、何に、いくら使っているのか」を把握できていないことも、返済が滞る根本的な原因の一つです。収入と支出がどんぶり勘定になっていると、どこを削れば返済のためのお金(原資)を生み出せるのかが見えてきません。
これらの無駄を徹底的に削減し、浮いたお金をすべて繰り上げ返済に回す習慣をつけることができれば、返済ペースを劇的に上げることが可能です。
これは、単に返済を進めるだけでなく、ご自身の金銭管理能力を高め、将来二度と借金に頼らない生活を送るための重要な訓練にもなります。
他社からも借り入れがあり「多重債務」の状態に陥っている
auじぶん銀行カードローンの返済だけに目を向けていると、問題の本質を見誤ることがあります。
もし、他の消費者金融やクレジットカードのキャッシングなど、複数の金融機関からも借り入れがある「多重債務」の状態であれば、事態はより深刻です。それぞれの借入先で金利も返済日も異なるため、借金の全体像を把握することが非常に難しくなります。
A社の返済のためにB社から借りる、といった自転車操業に陥りやすく、気づいた時には利息の支払いに追われるだけで元金が全く減らない、という最悪の状況を招きます。この場合、auじぶん銀行だけの返済計画を立てても意味がありません。
まずは、すべての借金を紙に書き出し、「どこから」「いくら」「金利何%で」借りているのかを一覧にして、借金の総額を正確に把握することが急務です。
その上で、金利の高い借金から優先的に返済する、あるいは、より金利の低い「おまとめローン」への借り換えを検討するなどの対策が必要となります。
auじぶん銀行カードローンの返済をできるだけ早く終わらせる方法
原因がわかれば、次はいよいよ具体的な解決策を実行していく段階です。専門家として、あなたの返済を一日でも早く終わらせるための、効果的かつ具体的な10の方法を詳しく解説します。
一つでも、ご自身で「これならできそうだ」と思えるものから、ぜひ実践してみてください。あなたのその一歩が、必ず完済というゴールに繋がります。
繰り上げ返済(任意返済)を徹底的に活用する
返済を早く終わらせるための最も強力で基本的な方法が、この「繰り上げ返済」です。毎月の決められた最低返済額(約定返済額)とは別に、余裕のある時に追加で返済を行うことを指します。
auじぶん銀行カードローンの場合、繰り上げ返済した金額は、そのすべてが元金の返済に充てられます。これが極めて重要なポイントです。通常の返済では、支払額の多くが利息に消えてしまいますが、繰り上げ返済はダイレクトに借金の元(元金)を減らすことができるため、その分、将来支払うはずだった利息を大幅に削減できるのです。
例えば、ボーナスや臨時収入があった時はもちろん、「今月は少し節約できたから5,000円だけ」「外食を1回我慢したから3,000円」といった少額でも構いません。これを生活習慣の一部として、ゲーム感覚でコツコツと続けることが大きな差を生みます。
auじぶん銀行では、インターネットバンキングや提携ATMから、手数料無料で1円単位(※ATMによっては1,000円単位)での繰り上げ返済が可能です。
【じぶんローン】余裕ができたときに約定返済額より多めに返済することはできますか?
返済方法に関わらず、毎月の返済金額(約定返済額)より多めにご返済いただく事が可能です。なお、ご返済期日より15日以上前に入金されますと、前回の追加入金扱いとなりご返済期日が変わらず、期日にご返済が必要となります。ご注意ください。
返済方法 | 毎月のご返済(約定返済) | 追加のご返済(随時返済) |
---|---|---|
ATM返済 | 約定返済額以上であれば、お好きな金額をご返済いただけます。*1 | 約定返済額以上であれば、お好きな金額をご返済いただけます。 |
自動支払い返済 | 毎月の引落とし金額を変更いただくことはできません。 | 約定返済額以上であれば、当社提携ATMより、お好きな金額をご返済いただけます。 |
この手軽さを最大限に活かし、「余裕資金が生まれたら即返済」を徹底するだけで、返済期間と支払総額を劇的に圧縮することができます。
固定費を徹底的に見直し返済原資を捻出する
繰り上げ返済が重要であることはご理解いただけたかと思います。
では、その「繰り上げ返済するためのお金(原資)」をどうやって作り出すのか。その答えが、家計の徹底的な見直しです。まずは1ヶ月、家計簿アプリなどを活用して、ご自身の支出を「見える化」してください。
そして、支出を「固定費」と「変動費」に分けて、それぞれに削減のメスを入れます。効果が大きく、一度見直せば節約効果が継続するのが固定費です。
- 通信費:大手キャリアから格安SIMへ乗り換えるだけで、月に数千円の削減が可能です。
- 保険料:必要以上の保障内容になっていないか、保険の専門家に相談して見直しましょう。
- サブスクリプション:利用頻度の低い動画配信サービスやアプリの課金などを解約します。
- 家賃:より家賃の安い物件への引っ越しも、抜本的な解決策として有効です。【変動費の見直し】日々の意識が重要になります。
- 食費:自炊を基本とし、コンビニ弁当や外食の回数を減らします。
- 交際費:飲み会は回数を減らす、あるいはオンライン飲みに切り替えるなど工夫します。
- 娯楽費・嗜好品:タバコやお酒の量を減らす、あるいは禁煙・禁酒に挑戦することも大きな節約に繋がります。ここで生まれた余裕資金を、すべて繰り上げ返済に回すことで、返済は一気に加速します。
明確な「完済ゴール」を設定し、返済計画を可視化する
ゴールの見えないマラソンを走り続けることは誰にとっても苦痛です。
返済も同様で、「いつ終わるかわからない」という状態ではモチベーションを維持できません。そこで、具体的な「完済ゴール」を設定し、そこまでの道のりを計画として「可視化」することが非常に重要になります。
まずは、auじぶん銀行の会員ページにログインし、現在の借入残高、金利を正確に把握してください。その上で、返済シミュレーション機能を使い、
- 「1年で完済するためには、毎月あといくら追加返済が必要か」
- 「毎月1万円ずつ繰り上げ返済すれば、完済時期はいつになり、利息はいくら減るのか」
といった具体的な数字を算出します。そして、「〇年〇月〇日に完済する!」という明確な目標日をカレンダーに書き込みましょう。さらに、返済計画表を自作し、繰り上げ返済をするたびに残高が減っていく様子をグラフなどで視覚的に確認できるようにすると、達成感が得られ、ゲーム感覚で楽しく返済を続けられます。
目標が明確になることで、日々の節約にも張り合いが生まれ、「この一杯のコーヒーを我慢すれば、ゴールに一歩近づける」と前向きな気持ちで取り組むことができるようになります。
収入を増やすための具体的な行動を起こす
家計の見直しによる「節約(守り)」と同時に、収入自体を増やす「攻め」のアプローチを考えることも、返済を加速させる上で非常に効果的です。支出を切り詰めることには限界がありますが、収入の上昇にはその上限がありません。現在の本業に支障が出ない範囲で、ご自身のスキルや経験、使える時間を活かした副業を検討してみましょう。
そこで得た収入は、生活費に充てるのではなく、全額を繰り上げ返済に回すことを徹底してください。月に2万円の副収入が生まれれば、年間で24万円も元金を減らすことができます。これは利息の削減にも大きく貢献します。
返済のために始めた副業が、ご自身の新たなスキル獲得やキャリアアップに繋がる可能性も秘めており、一石二鳥の効果が期待できます。
より金利の低い「借り換えローン」を検討する
もし、あなたのauじぶん銀行カードローンの適用金利が比較的高め(例えば年10.0%以上)である場合、現在よりも低い金利のローンに「借り換える」ことで、返済の負担を大きく軽減できる可能性があります。
借り換えとは、新たな金融機関からお金を借り、そのお金でauじぶん銀行のカードローンを全額返済(完済)し、その後は新しい金融機関に返済していく方法です。例えば、年15.0%で100万円を借りている状況から、年8.0%の銀行系フリーローンに借り換えることができれば、支払う利息は単純計算でほぼ半額になります。
特に、カードローンよりも目的別の「フリーローン」や「借り換え専用ローン」の方が、金利が低く設定されている傾向があります。借り換え先の審査に通る必要はありますが、これまでの返済実績に問題がなければ、十分に可能性があります。
ただし、借り換えの際には、審査手数料や保証料などの諸費用がかからないか、返済総額が本当に少なくなるのかを事前にしっかりとシミュレーションすることが重要です。複数の金融機関のローン商品を比較検討し、最も有利な条件のものを選ぶようにしましょう。
おまとめローンで複数債務を一本化する
auじぶん銀行以外にも複数の借入先があり、いわゆる「多重債務」の状態に陥っている場合は、「おまとめローン」の活用が極めて有効な解決策となります。おまとめローンは、複数の借入を一本にまとめることを目的とした商品です。
これにより、いくつかの大きなメリットが生まれます。第一に、管理の簡素化です。バラバラだった返済日が月に一度に集約されるため、返済忘れを防ぎ、精神的な負担を大きく軽減できます。第二に、金利の低下です。一般的に、借入額が大きくなるほど適用金利は下がる傾向にあります。複数の少額な借金を一本化して借入額を大きくすることで、現在よりも低い金利が適用される可能性が高まります。
これにより、毎月の利息負担が減り、返済総額を圧縮できます。特に、消費者金融など、銀行カードローンよりも高金利の借入がある場合には効果絶大です。おまとめローンも銀行などが提供しており、総量規制(年収の3分の1までしか借りられない規制)の対象外となるため、現在の借入総額が年収の3分の1を超えていても利用できる可能性があります。
まずはご自身のすべての債務をリストアップし、総額を把握することから始めましょう。
あえて「増額申請」で金利引き下げを狙う
これは少し高度なテクニックであり、強い自制心が求められる方法ですが、有効な場合があります。auじぶん銀行カードローンでは、利用限度額に応じて適用金利が変わる仕組みになっています。
例えば、「100万円までは年15.0%」「100万円を超えると年12.0%」というように、限度額が高くなるほど金利は低くなる傾向があります。もし、あなたの現在の契約が、金利の変わり目となる限度額のすぐ下にある場合、あえて「増額申請」を行い、審査に通って限度額が引き上げられると、現在の借入残高に対しても低い金利が適用されるようになるのです。
これにより、毎月の利息負担が減り、返済が楽になります。ただし、これには大きなリスクが伴います。それは、「利用限度額が増えたことで、まだ借りられると錯覚し、追加で借り入れをしてしまう」というリスクです。
この誘惑に勝てるという強い意志がない限り、この方法はおすすめできません。増額申請をするのであれば、「金利を下げることだけが目的であり、今後は一切追加の借り入れはしない」という固い決意を持って臨む必要があります。
申請が通ったら、新しいカードはすぐにハサミを入れるくらいの覚悟が必要です。
家族や親族から無利子で借り「一括返済」をする
心理的なハードルが最も高い方法かもしれませんが、もし可能であれば、最も効果的な解決策の一つです。それは、ご両親や兄弟、親族に正直に事情を話し、一時的にお金を立て替えてもらい。一括返済する方法もあります。
一括返済とは、その名の通り、借入残高のすべて(元金+その日までの利息)を一度にまとめて支払い、契約を完済させる方法です。これは、カードローンとの関係を完全に断ち切り、借金生活に終止符を打つための、最も理想的かつ効果的な最終手段と言えます。
ボーナス、退職金、あるいはご家族からの援助などでまとまった資金が用意できた際に、この選択肢が現実味を帯びてきます。
- 支払う利息を最小限に抑えられる これが一括返済における最大のメリットです。カードローンの利息は、借入残高に対して日割りで計算され、一日でも借入期間が長引けばその分だけ増え続けます。一括返済を行えば、その日以降に発生するはずだった将来の利息をすべて支払う必要がなくなります。例えば、金利年15.0%で50万円の残高がある場合、1年間返済を続けると約75,000円もの利息を支払うことになりますが、これを一括返済すれば、その利息はすべてゼロになります。手元から出ていくお金の総額(返済総額)を最も少なくできる、経済合理性の高い方法です。
- 精神的な負担からの完全な解放 「毎月返済日がやってくる」「あと何年この生活が続くのだろう」といった、目には見えない精神的なプレッシャーは、日々の生活に重くのしかかります。一括返済を完了させた瞬間、この重圧から完全に解放されます。借金がないという事実は、何物にも代えがたい安心感をもたらし、将来のライフプラン(結婚、住宅購入、自己投資など)を前向きに、そして自由に描くための大きな一歩となります。
一括返済は「今日の残高をそのまま振り込めば良い」という単純なものではありません。利息が日割りで計算されるため、正しい手順を踏むことが非常に重要です。
auじぶん銀行での一括返済の具体的な手順
ローンセンターへ電話し、返済総額を確認する
まず最初に、必ずauじぶん銀行のローンセンターに電話をしてください。 そして、「〇月〇日に一括返済をしたい」というご自身の希望日を明確に伝えます。オペレーターが、その指定した日にち時点での元金と日割り利息を精密に計算し、「1円単位」での正確な返済総額を教えてくれます。ご自身で計算すると誤差が生じる可能性があるため、この電話確認は必須のプロセスです。
返済方法を確認する
電話の際に、その金額をどのように返済すればよいか(振込先の口座情報など)も併せて確認しましょう。ATMでは硬貨の入金ができないため、端数までぴったり支払う必要がある一括返済は、基本的に銀行振込で行うことになります。
その際の振込手数料は自己負担となる点も覚えておきましょう。
指定された日に、正確な金額を振り込む
ローンセンターから指示された返済日に、指定された口座へ、伝えられた金額を過不足なく振り込みます。金額を1円でも間違えたり、日にちがずれたりすると、完済扱いにならない可能性があるため、細心の注意を払ってください。
完済の確認
返済後、念のため会員サイトなどで借入残高が0円になっていることを確認しましょう。必要であれば、完済したことを証明する「完済証明書」を発行してもらえるか、ローンセンターに問い合わせてみるのも良いでしょう。
一括返済を実行する際の注意点
一括返済は非常に有効ですが、焦りは禁物です。実行する前には必ず以下の点を確認してください。
手元にある貯蓄のすべてを返済に充ててしまうのは非常に危険です。一括返済後に、急な病気やケガ、失業などで現金が必要になった際、再びカードローンに頼らざるを得なくなっては本末転倒です。万が一の事態に備え、少なくとも生活費の3ヶ月分、できれば半年分は「生活防衛資金」として預貯金で確保した上で、残りの余裕資金で一括返済を行うようにしてください。
計画的に資金を準備し、ご自身の生活を脅かさない範囲で実行する。それが賢明な一括返済の進め方です。この最終ゴールを目指して、日々の繰り上げ返済を着実に進めていきましょう。
【auじぶん銀行カードローンの返済額別】返済シミュレーション
つぎに、借入残高ごとに毎月の返済額がいくらになり、返済を続けると将来的にどのような結果になるのか、具体的なシミュレーションを見ていきましょう。
ご自身の状況と照らし合わせることで、今後の返済計画を立てる上での重要な気づきが得られるはずです。専門家として、その数字が持つ意味を丁寧に解説していきます。
以下のシミュレーションは、適用される金利や返済方式の特性を分かりやすくご理解いただくための試算です。実際の返済額や期間は、ご契約内容やご利用状況によって異なりますので、必ずauじぶん銀行の会員サイトなどで正確な情報をご確認ください。
借入残高50万円の返済シミュレーション
借入残高が50万円の場合、auじぶん銀行カードローンの規定に基づき、毎月の最低返済額は10,000円となります。比較的に少額な借入のため、上限金利に近い年17.5%が適用されていると仮定してシミュレーションを行います。
この条件で、毎月10,000円だけを返済し続けた場合、返済完了までには約95回(7年11ヶ月)もの期間を要します。そして、最も注目すべきは利息です。元金50万円に対して、支払う利息の総額は約45万円にも膨れ上がり、最終的な返済総額は約95万円、つまり借りた額のほぼ倍額を支払う計算になります。
毎月の返済額10,000円のうち、最初の頃は実に7,000円以上が利息の支払いに充てられ、元金は3,000円も減りません。これが「返しても返しても元金が減らない」という感覚の正体です。
さらに、返済が進み借入残高が30万円以下になると、最低返済額が8,000円に下がります。これにより月々の負担は軽くなりますが、完済までの期間はさらに延び、支払う利息も増えてしまいます。
この現実を直視し、家計を見直して1円でも多く繰り上げ返済に回すことが、賢明な判断と言えるでしょう。
借入残高100万円の返済シミュレーション
借入残高が100万円の場合、毎月の最低返済額は15,000円に設定されます。この金額帯でも上限金利に近い**年17.5%**が適用されているケースが多いと考え、シミュレーションを行います。
もし追加の借り入れをせず、毎月15,000円だけを支払い続けると、完済までに要する回数は約149回、年月に換算すると約12年5ヶ月という非常に長い期間が必要になります。
そして、支払う利息の総額は、元金の100万円を上回る約123万円に達します。つまり、最終的に支払う総額は約223万円となり、借りた額の2倍以上を返すことになるのです。
最初の返済では、15,000円のうち約14,500円が利息で、元金はわずか500円程度しか減りません。この事実を知ると、最低返済額だけを続けることがいかに遠回りであるかをご理解いただけるかと思います。
また、返済が進んで借入残高が50万円以下、30万円以下と減っていくにつれて、最低返済額も10,000円、8,000円と下がっていきます。これは返済の長期化と利息総額の増加に直結するため、意識的に毎月20,000円、30,000円と多めに返済していく計画を立てなければ、この長い返済のトンネルから抜け出すことは困難になるでしょう。
借入残高200万円の返済シミュレーション
借入残高が200万円になると、適用される金利も少し下がるのが一般的です。ここでは、例えば年12.5%の金利が適用されていると仮定します。この場合の毎月の最低返済額は25,000円となります。
この条件で、毎月25,000円の最低返済額のみを払い続けた場合のシミュレーションを見てみましょう。返済完了までには約139回(約11年7ヶ月)という期間がかかります。金利が下がったにもかかわらず、返済期間は依然として10年を超えます。
そして、支払う利息の総額は約146万円、返済総額は約346万円にものぼります。200万円を借りた結果、1.5倍近い利息を上乗せして返すことになる、という重い事実を認識する必要があります。
毎月の返済額25,000円のうち、初回の返済では約20,800円が利息に充てられます。つまり、元金は約4,200円しか減りません。借入額が大きくなると、このように返済額に占める利息の割合が非常に高くなるのです。
返済期間中に残高が100万円を下回ると、最低返済額も15,000円に減額され、返済ペースはさらに鈍化します。この状況を打破するには、収入を増やす努力や徹底した家計の見直しを行い、毎月最低でも4~5万円を返済に回すといった具体的な目標設定が不可欠です。
借入残高300万円の返済シミュレーション
借入残高が300万円という高額になると、適用金利もさらに下がり、例えば年9.0%が適用されていると仮定します。この残高での毎月の最低返済額は35,000円です。
金利が1桁台になり、少し安心感を覚えるかもしれませんが、シミュレーション結果は依然として厳しいものとなります。毎月35,000円の返済を続けた場合、完済までの回数は約124回、期間にして約10年4ヶ月を要します。
支払う利息の総額は約133万円、返済総額は約433万円となります。300万円という元金に対し、高級車一台分に相当するほどの利息を支払うことになるのです。
初回の返済35,000円の内訳を見ると、利息が22,500円を占め、元金の返済は12,500円にとどまります。返済額の3分の2近くが利息で消えていく計算です。この金額帯になると、自力での返済計画を立てるのと同時に、より金利の低い銀行の「おまとめローン」や「借り換えローン」への乗り換えを真剣に検討すべき段階と言えるでしょう。
現在の金利よりも低いローンに借り換えることができれば、毎月の返済額はそのままでも元金が減るスピードが上がり、総支払額を大きく圧縮できる可能性があります。
借入残高500万円の返済シミュレーション
借入残高が500万円の場合、auじぶん銀行カードローンの金利体系の中でもかなり低い金利が適用されるようになります。ここでは仮に年6.0%が適用されているとしましょう。毎月の最低返済額は50,000円となります。
この条件で最低返済額50,000円のみを支払い続けると、返済回数は約144回、つまり丸12年かかる計算になります。そして、これだけ低い金利であっても、支払う利息の総額は約217万円にも達し、返済総額は約717万円となります。元金500万円に対して、200万円以上の莫大な利息負担が発生するのです。
初回の返済50,000円の内訳は、利息が25,000円、元金返済分が25,000円と、ちょうど半分ずつになります。これまでのシミュレーションに比べれば元金が減る割合は大きいですが、それでも完済までの道のりは非常に長いと言わざるを得ません。ここまで借入額が大きくなると、繰り上げ返済の効果も絶大になります。
例えば毎月2万円を追加して7万円ずつ返済できれば、返済期間を約3年半も短縮し、利息を約60万円以上も節約することが可能です。
もはや個人の努力だけでは限界を感じる場合、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、債務整理を視野に入れることも、人生を再建するための現実的な選択肢となります。
auじぶん銀行カードローンの返済について相談できる相談窓口
返済に関する悩みや困難は、一人で抱え込んでいるとますます深刻化してしまいます。幸い、日本にはあなたの状況を親身に聞き、専門的な知識で解決へと導いてくれる相談先が数多く存在します。
専門家の立場から、auじぶん銀行カードローンの返済について相談できる信頼性の高い窓口を7つ厳選し、それぞれでどのようなサポートが受けられるのかを具体的に解説します。
ご自身の状況に合わせて、最も相談しやすいと感じる場所へ、まずは一歩を踏み出してみてください。
auじぶん銀行 ローンセンター
まず最初に検討すべき相談先は、あなたが直接契約しているauじぶん銀行自身の窓口です。
返済が困難になった、あるいはなりそうだと感じた時点で、隠さずに正直に連絡することが非常に重要です。金融機関は、利用者が返済不能になって貸し倒れになることを最も恐れています。
そのため、返済の意思がある利用者からの相談には、現実的な解決策を一緒に模索してくれることがほとんどです。
【相談できる内容】
具体的には、「今月だけ、どうしても返済日に間に合わない」「病気や失業で収入が減り、一時的に毎月の返済額を減額してほしい」といった、返済条件の一時的な変更に関する相談が可能です。
また、「今後の返済計画を改めて確認したい」といった相談にも応じてくれます。ここで誠実な対応を示すことは、その後の関係においても重要です。
ただし、この窓口は利息のカットや元金の減額といった債務整理に関する交渉を行う場所ではない、という点は理解しておく必要があります。あくまで現行の契約の範囲内での調整が基本となります。
日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター
日本貸金業協会は、貸金業法に基づき設立された貸金業界の自主規制機関です。その中にある「貸金業相談・紛争解決センター」は、利用者と貸金業者との間でトラブルが生じた際に、公正・中立な立場で相談に応じてくれる窓口です。
auじぶん銀行は銀行ですが、カードローン事業においては貸金業法の影響も受けるため、相談対象となります。
【相談できる内容】
「返済について銀行と話し合っているが、どうしてもうまくいかない」「高圧的な取り立てを受けて困っている」といった、貸金業者との間のトラブル全般について相談できます。
また、多重債務に陥ってしまった場合のカウンセリングや、他の専門機関への橋渡しも行ってくれます。いきなり法律の専門家に相談するのはハードルが高いと感じる方にとって、まずは中立的な機関に話を聞いてもらい、客観的なアドバイスを受けられるというメリットがあります。
相談は無料で、電話や来訪、WEBで受け付けています。法的な強制力はありませんが、業界のルールに則った解決を促してくれる心強い存在です。
全国の消費生活センター・国民生活センター(消費者ホットライン「188」)
消費生活センターは、商品やサービスの契約に関するトラブルなど、消費者のあらゆる問題に対応してくれる、地方公共団体が設置する行政機関です。
借金問題も、金融サービスという契約に関するトラブルの一つとして、専門の相談員が親身に対応してくれます。どこに相談してよいか全く分からない、という場合にまず電話すべき窓口と言えるでしょう。
【相談できる内容】
「複数の会社から借金があり、どこから手をつけていいかわからない」「自分の収入状況で、返済を続けることは可能なのか」といった、家計状況を含めた総合的な相談が可能です。
相談員があなたの状況を丁寧に聞き取った上で、家計管理のアドバイスをくれたり、必要に応じて弁護士や司法書士、自治体の専門窓口など、次に取るべき行動と最適な相談先を紹介してくれます。
全国どこからでも電話番号「188(いやや!)」にかけることで、最寄りの窓口に繋がります。公的機関ならではの安心感があり、無料で相談できるため、債務整理を検討する前の第一歩として非常に有効な相談先です。
各自治体の多重債務相談窓口
お住まいの市区町村の役所内に、住民サービスの一環として多重債務問題に特化した相談窓口が設置されている場合があります。弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーといった専門家が定期的に無料相談会を実施していることも多く、より身近な場所で専門的なアドバイスを受けられるのが大きなメリットです。
【相談できる内容】
基本的な役割は消費生活センターと似ていますが、より地域に密着しているのが特徴です。借金問題だけでなく、それに起因する生活困窮や税金の滞納、健康問題など、生活再建に向けた包括的な相談に応じてもらえる場合があります。
例えば、公的な支援制度(生活福祉資金貸付制度など)の案内や、ハローワークと連携した就労支援など、役所内の他部署と連携したサポートが期待できます。
まずはお住まいの市区町村のホームページで「多重債務相談」と検索してみるか、代表電話に問い合わせて、そのような窓口があるかを確認してみてください。
法テラス(日本司法支援センター)
法テラスは、国によって設立された、法的なトラブルを解決するための総合案内所です。借金問題で法的な手続き(債務整理など)を検討し始めたものの、「誰に相談すればいいのか分からない」「弁護士費用を払えるか心配」といった不安を抱える方々のための、心強いセーフティネットです。
【相談できる内容】
電話や窓口で、あなたの悩みを解決するためにどのような法制度が利用できるか、どのような相談窓口があるかを無料で案内してくれます。また、収入や資産が一定の基準以下の方を対象に、弁護士や司法書士による無料の法律相談(同一問題につき3回まで)を実施しています。
さらに、実際に債務整理を依頼することになった場合、弁護士や司法書士の費用を立て替えてくれる「民事法律扶助制度」も利用できます。立替費用は、月々5,000円~10,000円程度の無理のない範囲で分割返済していくことが可能です。
経済的な理由で専門家への相談をためらっている方にとって、まさに駆け込み寺とも言える重要な機関です。
弁護士・法律事務所
弁護士は、法律に関するすべての業務を取り扱うことができる専門家であり、債務整理においては最も強力な代理人となります。特に、借金の総額が大きい場合や、個人再生・自己破産といった裁判所を通す複雑な手続きを検討している場合には、弁護士への相談が不可欠です。
【相談できる内容】
任意整理、個人再生、自己破産のすべての手続きについて、あなたの代理人として金融機関との交渉や裁判所への申し立てを行ってくれます。弁護士が依頼を受けた時点で「受任通知」がauじぶん銀行などの債権者に送付され、その瞬間からあなたへの直接の取り立ては法律で禁止されます。
これがもたらす精神的な安堵は計り知れません。また、払い過ぎた利息(過払い金)が発生している可能性がある場合には、その調査と返還請求も行ってくれます。
近年は、借金問題に関する初回相談を無料としている事務所が多いため、まずは複数の事務所に相談し、信頼できる弁護士を見つけることが大切です。
司法書士事務所
司法書士も、弁護士と同様に債務整理手続きの専門家です。特に、借金の状況が比較的シンプルで、任意整理を希望している場合には、有力な相談先となります。
【相談できる内容】
司法書士は、1社あたりの元金が140万円以下の借金について、任意整理の代理交渉や、裁判所に提出する書類の作成支援を行うことができます。弁護士と比較して、相談や依頼にかかる費用がやや安価な傾向にあるのが一般的です。
そのため、借入先が数社で、それぞれの借金額が140万円以下といった場合には、費用を抑えつつ問題解決を図れる可能性があります。ただし、1社でも140万円を超える借金がある場合の交渉代理や、個人再生・自己破産における代理人としての活動には制限があります。
弁護士と司法書士のどちらに相談すべきか迷う場合でも、まずは無料相談を利用して、ご自身の状況でどのようなサポートが可能かを確認してみるのが良いでしょう。
それでもauじぶん銀行カードローンの返済が減らない・終わらない場合の対処法
これまでにご提案した様々な対策を講じても、どうしても返済の目途が立たないという状況は、本当にお辛いことと思います。しかし、どうか思い詰めないでください。そのような場合に備え、国が認めた、借金の負担を合法的に整理し、生活を再建するための正当な手続きが「債務整理」です。
これは決して人生の終わりなどではなく、新たなスタートを切るための賢明な選択肢の一つです。専門家として、債務整理の主な3つの種類と、それぞれのメリット・デメリットを、あなたの状況に寄り添いながら分かりやすく解説します。
任意整理(にんいせいり)
任意整理は、裁判所を通さずに、弁護士や司法書士が代理人となって、auじぶん銀行のような金融機関(債権者)と直接交渉し、返済の負担を軽くする方法です。主に、将来発生する利息(将来利息)をカットしてもらい、残った元金だけを3年~5年程度の分割で返済していく和解を目指します。債務整理の中では、最も多く利用されている手続きです。
メリット
最大のメリットは、手続きの柔軟性です。裁判所を通さないため、比較的スピーディーに進められ、必要書類も少なくて済みます。
また、「保証人がいる借金は対象から外す」「住宅ローンや自動車ローンはそのまま支払いを続ける」といったように、整理する借金を選ぶことができるため、周囲への影響を最小限に抑えたい場合に適しています。
専門家に依頼した時点で金融機関からの督促が止まるため、精神的な平穏を取り戻せることも大きな利点です。官報に名前が載ることもありません。
デメリット
原則として借金の元金自体は減額されないため、ある程度の安定した収入があることが前提となります。
また、信用情報機関に事故情報が登録される(いわゆるブラックリスト入り)ため、手続き後約5年間は、新たなローンを組んだり、クレジットカードを作成したりすることが難しくなります。
あくまで金融機関との交渉であるため、相手が和解に応じない可能性もゼロではありませんが、多くの場合は専門家が介入することで交渉がまとまります。
個人再生(こじんさいせい)
個人再生は、裁判所に申し立てを行い、再生計画の認可を受けることで、借金を大幅に減額(おおむね5分の1から10分の1程度に圧縮)してもらい、その減額された借金を原則3年(最長5年)で分割返済していく手続きです。任意整理では返済が難しいけれど、自己破産は避けたいという場合に有効な選択肢です。
メリット
最大の特長は、*「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用できる点です。これにより、住宅ローンはそのまま返済を続けることで、マイホームを手放すことなく他の借金を大幅に減額できます。
また、自己破産のように、借金の原因(ギャンブルや浪費など)が問われることはなく、手続き中に職業が制限される(資格制限)こともありません。借金を大幅に減らせるため、返済のゴールが明確に見え、生活再建の計画が立てやすくなります。
デメリット
裁判所を通す複雑な手続きのため、任意整理に比べて時間と費用がかかります。また、信用情報機関への事故情報の登録(約5~10年)に加え、国の広報誌である「官報」に氏名や住所が掲載されます。
すべての借金が対象となるため、保証人がいる場合は、減額された分の返済義務が保証人に移ります。手続きを利用するには、将来にわたって継続的に収入を得る見込みがあることが条件となります。

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自己破産(じこはさん)
自己破産は、裁判所に申し立て、支払い不能であることを認めてもらうことで、税金などを除くほぼすべての借金の支払い義務を免除(免責)してもらう手続きです。
文字通り、借金をゼロにして人生をリセットし、再出発を図るための、国が認めた最終的な救済制度です。収入がない、あるいは極端に少なく、返済の目途が全く立たない場合に検討されます。
メリット
最大のメリットは、裁判所から免責許可が下りれば、すべての借金を返済する必要がなくなるという、その絶大な効果にあります。多額の借金に苦しむ生活から完全に解放され、収入をすべて自分の生活再建のために使えるようになります。手続きを開始すれば金融機関からの督促も止まり、精神的な苦痛から解放されます。収入の有無にかかわらず、誰でも申し立てることが可能です。
デメリット
信用情報機関への登録(約5~10年)や官報への掲載に加え、一定額(20万円)以上の価値がある財産(不動産、車、預貯金など)は、原則として手放さなければなりません。
また、手続き期間中、警備員や保険募集人など、一部の職業に就くことができなくなる資格制限があります。ギャンブルや著しい浪費が原因の借金の場合、「免責不許可事由」に該当し、借金が免除されない可能性もあります。
これらの手続きは、どれが最適かをご自身で判断するのは非常に困難です。
まずは無料相談などを実施している弁護士や司法書士といった法律の専門家に連絡し、あなたの状況を正直に話すことから始めてみてください。必ず、あなたに合った解決の道が見つかるはずです。
まとめ
ここまで、返済が進まない原因の分析から、繰り上げ返済や借り換えといった具体的な対策、最終手段である債務整理、そして信頼できる相談窓口まで、完済に向けた様々な知識を学んできました。
しかし、どれほど優れた知識や情報も、あなたが行動しなければ何も変わりません。どうか、今日得た学びを「知っているだけ」で終わらせないでください。
まずは、本当に小さな一歩で構いません。「家計簿アプリをダウンロードしてみる」「auじぶん銀行の会員サイトで今の残高を再確認する」「消費者ホットライン『188』に電話をかけてみる」。その小さな行動の積み重ねが、いずれ返済という大きな山を動かす力となります。
あなたは決して一人ではありません。日本にはあなたを支える専門家や公的機関が数多く存在します。勇気を出してその扉を叩くことが、あなたらしい人生を取り戻すための、最も確実な一歩となるのです。あなたの未来を切り拓くその決断を、心から応援しています。